利用者としてはその各機関の金利を住宅金融公庫のホームページなどで確認して、メガバンクをはじめとする銀行だけではなく、ノンバンクを含めて自分が利用できる機関のなかから、一番有利な条件で融資が受けられるところを探す必要がある。
同じ「フラット35」でも機関によって金利が一%以上異なっていることもあるので、調査に多少時間がかかっても、一番有利な機関を探すだけのメリットはあるはずだ。
ただ、注意しておきたいのは、低い金利を提示しているノンバンクなどでは、初回の事務手数料が高くなっていることがある点だ。
これは「ディスカウントポイント方式」と呼ばれるもので、当初に一定の手数料を支払うことで金利を低くする仕組みである。
グッド住宅ローンのSBIモーゲージがわが国で初めて採用して以降、ノンバンクを中心に増加してきたが、最近では銀行でもこの仕組みを採用するところが登場している。
手数料は借入額の二・一%としているところが多く、三〇〇〇万円の借入れであれば六三万円の負担だから決して安くほない。
それでも金利が低い分、完済までの総支払額を比較すると、ディスカウントポイント方式のほうが少なくすむのがふつうである。
借入先を決定するときには、金利だけではなく、当初の手数料まで含めた総支払額を比較検討してみるのが無難だろう。
なお、この「フラット35」、図表40にあるように申込み件数は二〇〇四年度が約二万件に対して、二〇〇五年度は約六万件と三倍に増えている。
今後、金利上昇傾向がさらに明確になってくれは「フラット35」の申込者が増加することは疑いない。
事実、量的緩和政策が解除されて金利上昇懸念が強まった二〇〇六年三月は、二月に比べて大幅に申込み件数が増えた。
超長期で変動要素の大きいローンは使えない!では、なぜ三〇年、三五年といった超長期ローンでは全期間固定金利型が一番安心なのかーそれは、超長期ローンだと、当初はなかなか元金が減らないため、金利が上がったときに利息負担が激増するからにはかならない。
図表41をみていただきたい。
これは三〇〇〇万円を三五年の元利均等返済で利用した場合の金利変動時の返済額の変化を比較したものだ。
全期間固定金利型なら借入後に金利がいくら上がっても返済額は変わらない。
毎月一一万五四五五円で、三五年間の総返済額も約四八四九万円と確定している。
これに対して、Bの固定期間選択型の特約期間三年の優遇金利一・三%を利用した場合、当初の返済額は八万八九四四円に軽減されるが、三五年の超長期だと極めて金利上昇に弱いのである。
仮に固定金利期間が終了する三年経過後の金利が三%に上がっていれば、金利上昇後の返済額は一一万三二二九円で、三・五%だと一二万円台、四・〇%では一三万円近くに上がる。
四年目からの金利が三・〇%にとどまれば、総返済額は約四六六八万円で全期間固定金利型より少なくてすむが、現在の金利動向から考えると、三・〇%ということは考えにくい。
もしも四・〇%に上がっていると、総返済額は約五二七六万円になり、全期間固定金利型より四二七万円も多くなってしまうのだ。
これはCの変動金利型に関しても同様。
当初の返済額は九万二九円で、全期間固定金利型よりかなり少ないが、六年目からの金利が四・〇%に上がっていると返済額は二一万円台になって、その金利水準が完済まで続いたと仮定した場合、総返済額は約五一〇二万円。
やはり全期間固定金利型より二五三万円多くなる。
これらのシミユレーションは比較的金利の上昇幅を低く見積もっている。
実際には四・〇%以上に上昇することも十分に考えられる。
現実には固定期間選択型の特約期間が終了した時点や、変動金利型で六年目を迎えたときの増額率が四割、五割に達し、しかも完済までの総返済額が五〇〇万円以上増えてしまう可能性もないとはいえない。
できるなら、こうしたリスクのある超長期ローンは避けたいものだ。
超低金利ローンは返済期間を短くできればリスクが小さくなり、超低金利のメリットが活きるのだが、一般の会社員などではそうそう返済期間を短くすることはできない。
収入や頭金などの関係から、三〇年返済、三五年返済を選択せざるを得ないという人が多いはずだ。
その場合には、何をおいても「フラット35」を中心とする全期間固定金利型を利用するようにしたいところである。
全期間固定金利型のローンの代表格としては、公庫と民間提携の「フラット35」が真っ先にあげられるが、金利上昇慣向のなかで、消費者の全期間固定金利型への関心が高まっていることに対応して、メガバンクでも低利の全期間固定金利型ローンの販売に力を入れているところがある。
二〇〇六年四月現在、三菱東京UFJ銀行では返済期間二〇年から三五年のロー・ソの金利が二・九八%。
同行が扱っている「フラット35」の金利は三・〇五%だから、金利は独自のローンのほうが若干低くなっている。
しかも、家族が五人以上の「ビッグファミリー」に関しては、金利が〇・一%優遇される。
大家族は家族を重視し、家計管理もシッカリしているので、銀行からみたリスクは小さいという判断があるのかもしれないが、大きな社会問題となっている少子化対策への貢献によって、企業姿勢をアピールしようという狙いもあるのかもしれない。
また、三井住友銀行も二〇年から三五年のローンの金利は二・九八%となっている。
同行の場合には、「フラット35」も二・九八%だからまったく同じ金利設定になる。
ただ、金利は同じでも三菱東京UFl銀行や三井住友銀行の独自のローンには、団体信用生命保険料が含まれている。
この団体信用生命保険料は金利〇・三五%に相当する。
「フラット35」には団体信用生命保険はついていないので、自主的に加入するときには〇・三五%程度の金利が上乗せされることになる。
反対に、「フラット35」は保証料が無料で、銀行の独自のローンには保証料が必要という違いがある。
保証料は借入時に一括して支払えば安くなるが、毎回の金利に上乗せする方式を選んだときには、〇・二%の上乗せになる。
団体信用生命保険料と保証料を差し引きすると金利〇・一五%分民間の独自のローンのほうが有利になるという計算だ。
それを考慮して、メガバンクで全期間固定金利型を利用するのであれば、「フラット35」を利用するよりは、独自のローンを利用したほうが得策ということができる。
ただ、メガバンクでもみずほ銀行とりそな銀行は、独自ローンよりはむしろ「フラット35」のほうが金利が低くなっているので、三菱東京UFl銀行と三井住友銀行とは路線が異なる。
このメガバンクの独自ローン、原則的に地元に支店がないと利用できないため、現状では地域によって申し込めないところもある。
メガバンクだと大都市圏では各地に支店があって、比較的利用しやすいが、その他の地域では県庁所在地クラスなどしか店舗がないことが多い。
このため、中小都市では利用できないところが出てくるわけだ。
しかし、インターネットによる契約体制などを充実させて、全国どこでも対応できるように準備を進めているところもあるので、近いうちにどの地域でもメガバンクのローンを利用できるようになるだろう。
また、二〇〇六年から銀行の代理店制度が緩和され、スーパー、コンビニなどの流通業、住宅展示場、住宅販売会社などの住宅関連会社、その他郵便局をはじめ自動車販売会社など全国に拠点を持つ企業などが代理店に参入できるようになっている。
そのための人材教育などまだ多少時間がかかるかもしれないが、こうした代理店綱が充実してくれは、全国どこでも、ほとんどの銀行のローンを申し込めるようになるかもしれない。
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